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睦月 クワイの素揚げ
台処歳時記
形もたのしい根菜クワイはオモダカ科で栄養豊富
 年が明けてもあちらこちらで大雪のニュースがつづく。ちらちら降るなら風情もあるが、お年寄りが屋根の重みを案じて眠れぬような積もりっぷりは、天災というに如くはない。農家の被害も甚大で、葱やみず菜がちっとも大きく育たないとか、温室用の重油のかかりがたまらないとか、方々で泣かされているらしい。
 当然ながらさっそく野菜の値にも響いて、暮あたりから、とくに葉ものはぐんと上がって下がらない。それでもやっぱりこの時季のほうれん草や大根の甘みといったら格別で、年じゅう並ぶ野菜でも、時節によってこんなにも違うものかとせっせと買っては大事にお膳にのせている。

 冬じゅう旨い野菜もあれば、暮あたりからやっと出回るものもある。きんとんに使う金時芋や海老芋、慈姑(くわい)に百合根、京人参などが全国的といえようか。地方によってもさまざまで、京都では他にもおおきな蕪や牛蒡など、年を越すのに欠かせぬ野菜が時季を合わせて出荷する。とりわけて待ち遠しいのは炊いてもまっ白な百合の根と、「芽が出る」といってめでたい慈姑、かおりと甘みが独特で、おせちだけで仕舞いにするにはいささか惜しい食材だ。年が明けると値も少々さがるので、いろいろに目先を変えて味わってみたいもの。

台処歳時記
揚げて際立つ慈姑のえぐみ、百合根や芋はより甘く
 ちょうど八百屋にちょっと肩身の狭いような顔をした慈姑と百合根が並んでいたので手にとると、「煮るのもいいけど揚げるとほんとにおいしいのよ」と声がかかって晩のおかずが定まった。
 食べることには手を惜しまぬ方ながら、油の始末がおっくうで敬遠していた揚げものにかかろうと思っていた矢先、縁起もよくて手始めにちょうどいい。面倒といったところで油切りと油漉しの用意をすれば、衣のいらぬ素揚げはいたって簡単だ。
 百合根はほぐして、慈姑はごくうすく切り、高めの温度でからりと揚げる。甘みの増した百合根もいけるが、軍配はだんぜん慈姑にあがる。芋のようなほっくりした食感に、慈姑ならではのえぐみが際立ち、煮含めたのとはまた違ったおいしさだ。皮は剥かずに揚げたほうが、はじっこがぱりっとしてより旨い。ほかにもやっぱり今が盛りの蓮根とか、色のきれいな紫芋、ぎんなんなんかも素揚げ向き。突き出しにビールのお供はもちろんのこと、ごはんのおかずにするのもいい。なぜだか大根の漬物と抜群の相性だ。


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