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和雑貨 翠 TOP
> 台処歳時記 目次 > 睦月
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| 薄味で煮含めて、柚子を添えれば立派なごちそう |
早咲きの梅がほころんで、春はそこまで近づいている。ひと足はやい水仙は今が見ごろ、ちいさな花だが、玄関なんかに活けておくと、いっぱいにかおりが立って、通るたびにすうとする。同じ花でも外国種のは、色は冴えるがすこしも匂わずつまらないので、庭のすみっこにぼちぼち生える日本のやつが好ましい。
暖冬の今年は野菜の春もはやいとか、菜の花や山ウドもそろそろ並び始めたが、ほうれん草や大根など、寒い時期ほど甘みが勝る冬の野菜は、せっせと食べておきたいものだ。里芋の珍品、八つ頭も、いちどは食べぬと気が済まない。おせちや雑煮につかわれるため、暮から一気に出回るが、ねっとりとした独特の味わいは、正月だけではいかにも惜しい。
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| いかつい顔だが、正月や祝いの膳には欠かせぬ縁起物 |
自然薯など山で勝手に生えるのがやまのいも、里でつくるのがさといもだ。近ごろは、じゃがいもやさつまいもに押され気味だが、江戸の時代は里芋がいもの親分格だった。インドシナ半島あたりの南方から伝わったのは、稲より古い縄文時代。
種でなく芋で殖える里芋は、子芋、親芋、親子兼用と三つの品種に分類される。お月見にきぬかつぎを供える供える石川早生(わせ)などちいさいのが子芋用、京いもなど、大きくてほっくりとしたのが親芋用。親と子が仲よくごろんとかたまった八つ頭は、セレベスとおなじ親子兼用種。繊維がながく、ほくほくとして、年じゅう出回る子芋用とは、おなじ里芋とは思えぬほどのおいしさだ。
口当りは違っても、料理のしかたはふつうの里芋とかわらない。主な産地の千葉県では、ざらめをたっぷり使って甘く煮含めるのが、昔ながらの味らしい。おやつにはよさそうだけれど、せっかくの風味が惜しいので、なるたけ味はうすく抑えて、色もあっさり仕上げたい。田楽もよし、出汁でゆっくり煮含めて、柚子をちょっと散らしてもいい。じゃがいもみたいにごろごろやっては煮崩れてしまうので、なるべくいじらず水からゆっくり煮含める。大根などと煮しめるときは、芋そのものがうまいので、肉の類いは使わぬほうがいいようだ。
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| おおきく切って八丁味噌の田楽で |
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| いつもの煮しめも八つ頭なら一段あがる |
うすい出汁で炊き上げると、でんぷん質か、白いおおきな細胞がくっきりと浮いてきて、目にもふしぎに鮮やかだ。ずっしりとした口当りのわりに、いも類のなかでは低カロリー、たんぱく質やビタミンB1、カリウムも含まれて、栄養面でも秀でた日本の里の芋。
お頭やお面がごつごつ、いかつい顔だが「人の上に立つ」「末広がり」など、なにかとめでたい八つ頭。芽がおおいので、水盤で栽培するグリーンインテリアとしても楽しめる。砂利を敷いた容器に入れて、芋の底が浸るほどの水を注いで待つことおよそ一ヶ月。うまく緑の葉っぱが出たら、こいつは春から縁起がいい。
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