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和雑貨 翠 TOP
> 台処歳時記 目次 > 文月
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| ちいさなじゃこが千切れぬように、そっと炒ってぱらりと仕上げ。たくさんこしらえ常備菜にも。 |
紅や絞りのおしろい花が、淡く香って今日もゆっくり陽が落ちる。一年でいちばん昼間のながいこの季節、日なかの暑さがこたえるぶんだけ、明け方や暮れの過ごしやすさがありがたい。まだ梅雨のうち、ほんとの夏はこれからなのに、照りつけるつよい日差しに、馴れぬからだは早ばやと降参気味の昼下がり。肉や魚を煮炊きするのもおっくうなとき、備えあってうれしいのが干物だとかちりめんじゃこ。冷奴と茄子漬だけじゃあんまりさびしいお膳でも、すこしは精がつけられる。
日本近海ほぼ全域で、真冬を除き年じゅう捕れる鰯(いわし)こそ、日本人にはもっとも親しい魚のひとつ。タタミイワシに白子(シラス)、煮干に味醂干し、いろんな姿で日々の食事はもちろんのこと、おせちの田作り、節分など、季節の行事にも欠かせない。
各地で呼び名は異なるようだが、カタクチイワシなど鰯の稚魚を網で引き上げ、港へ着くなり塩茹でしたのが釜揚げ白子。ちょっと干して白子干し、さらに干したらちりめんじゃこだ。天日に広げて干す様が、しぼのある縮緬の反物をひろげたところに似ていたらしい。漁港ちかくで食べられる、生の白子は珍味だし、いつでもどこでも手に入る白子干しやちりめんじゃこは、頭も骨も丸ごと齧れてカルシウムも極めて豊富、おまけに何でも相性がいい。捕れたて塩茹で乾燥という昔ながらの製法だから、混じりけなしの魚と塩、かくも安心重宝な日本古来の栄養源、暑い夏こそ活用したい。
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| 暑い盛りもごはんがすすむ |
白子干しより歯ごたえがあり、日持ちも勝るちりめんじゃこは、使い勝手も幅広い。大きめの小女子(こおなご)よりも、かちりと呼ぶような小さいのほど、魚くささも控えめで、口当りも見た目もやさしい。素揚げもいいし、オーブントースターでかりっと焼いて、瓶にでも入れておけば、ごはんにかけたり、奴にのせたり、酢の物なんかにさっと添えれば、箸休めも酒のつまみに早がわり。ししとうやピーマンと炊き合わせてもちょっとしたおかずになるし、甘辛い佃煮もまたおなじみだろう。
京都あたりで「おじゃこ」といえば、山椒の実との炊き合わせ。つよい香りが魚くささをやわらげて、いかにも品のよい味だ。手に入りにくい実の代わりに、山椒の葉っぱと炊いてもいいし、さらに身近なセロリの葉先も、意外においしく炊き上がる。
ちりめんじゃこ50gにセロリの葉を2、3本分。さっと茹でて水にとり、よく絞って縦横にできるだけ細かく刻む。薄口しょうゆとみりんを各大さじ1に、酒を大さじ半分ほどで、じゃことセロリを炒りつけて出来あがり。仕上げに胡麻を散らしてもいい。鼈甲いろに炊き上げる佃煮よりはあっさりとして、ふりかけみたいにぱらぱらになる。白いごはんにのっければ、暑いさなかも食がすすむし、おむすびにもおすすめだ。セロリ嫌いの子どもまで、なぜか「ウメ−」とつまみ喰いする、じゃこの意外な底力。
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