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炊き込みごはん
台処歳時記
ごぼうにしいたけ、定番の五目飯。ひじきを入れると磯の香も
 彼岸を過ぎて、時にまだ照りつく日差しが、部屋の奥まで深々と差しこんでくる。ひと雨降れば、あちこちの垣根から金木犀がいっせいに香り立つ。
待ちかねた新米が出て、さんまの脂も乗ってきて、おいしい秋の到来だ。

 焼芋屋の間延びした売り声があったかそうに響いてくると、そうめんなんかはもうおしまいで、日々のお膳にごはんが戻る。おでんの湯気がうれしくなるころ、食べたくなるのが炊き込み飯だ。新米には引けをとる去年の米も、じゅうぶんおいしく食べられる。

 栗ごはんにまいたけしめじ、秋鮭など旬の具にも事欠かないが、まずは王道、五目飯。出汁のでる鶏に人参、干ししいたけにごぼうあたりが定番だろう。準じてこんにゃく、油揚げといったところか。私の場合はひじきと黒豆が加わって、海山の味が出そろう体になる。
 ひじきといえば、瀬戸内の島々あたりは、揚げ物おすしとひろく活用するらしい。私の田舎は産地ではないけれど、海に近いせいなのか、ご飯ものには好んでつかう。友だちの家のオムライスにも、黒々と炒めてあった。

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具はなんでもお好みで
 炊き込む米は、うるち米だけでもいいが、具がおおくてまとまりのわるいぶん、弁当などにはもち米を足すと食べやすい。うるち2合にもち米1合でかなりもっちりとして、おこわ風に炊き上がる。干しいたけ2、3枚と芽ひじき10gはそれぞれを水でもどし、鶏のモモ肉100gはちいさく切って酒としょうゆ少々に浸けておく。黒豆は水煮50gばかりの水気を切るか、さいきん流行の黒豆茶を一服したのを使ってもかんたんだ。ごぼう30gはごく細いささがきにして水にさらし、人参80gは1センチほどの短冊に。もち米は長めに浸し、干しいたけの戻し汁としょうゆ大さじ2、酒大さじ半分ぶんを差し引いて米に水を足したらひとまぜ、野菜と鶏をのせて炊く。人参などから水が出るので、水加減はやや控えるとよいだろう。ふつふつと、おなじみのいいかおりが立ちのぼる。

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おかず要らずで行楽もお手軽に
 炊き込み飯のうれしいところは、ご飯とおかずがいっしょになった手軽さだ。あとは汁物と漬物でもあれば足りるから、鍋も皿もすこしで済むし、下ごしらえの手間さえかければ、あとはお釜におまかせなので、あんがい楽な献立だ。ちょっと握って海苔でも巻けば、秋晴れの行楽に。新米を惜しまず栗やぎんなん、きのこを足せば季節のごちそう、もてなしにも立派に通る。たくさん炊いて、湯気ごと配れば、ご近所に喜ばれること請け合いにして、さいごの残りをちょっと冷凍しておけば、急ぎのときに重宝するし、なかなかに作り得な秋らしいごはんもの。

 


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