|
|
 |
和雑貨 翠 TOP
> 台処歳時記 目次 > 師走
 |
| 田舎風の口取りで |
いちょうの黄葉が風に舞い、色鮮やかなシクラメンやポインセチアがいっせいに通りを飾って、はやくも師走のにぎわいだ。今年は秋があっという間で、寒くなったと思ったら、もう歳末の話題あれこれ、いつに増して気ぜわしい。掃除はてんで進まぬくせに、そろそろおせちの心づもりや予行練習に身が入る。
ついこないだまで栗をさんざん食べたのに、うっかり甘煮を作りそびれて、きんとんが考えどころ。砂糖が貴重だった昔は、さつまいもだけだとか、里芋と大豆とか、農村のきんとんにはいろんなタイプがあったらしい。今年はひとつ目先を変えて、豆でいくのはどうだろう。
 |
| 静かにじっくり炊きあげる |
こういうのはちょっぴり炊いてもつまらないので、白金時やいんげん豆250gを洗い、たっぷりの水に一晩ひたす。そのまま強めの火にかけて、ぷつぷつと泡立ったら、3分ほどアクを沸かせて笊にあけ、ぬるま湯でそっと洗い流す。ひたひたより多めの水で再び火にかけ、沸騰したら、豆が空気にふれぬよう、時々のぞいて差し水しながら、ごく弱火でやわらかくなるまで20分から1時間ほど、ゆっくりと炊きあげる。
やわらかくなったら、豆が顔を出すほどまで煮汁を落とし、水気を飛ばすようにしながら100gの砂糖を2、3回に分けて加える。ちょっと色がつくけれど、きび砂糖などをつかうとやさしい味に仕上がるようだ。好みの甘さになったら、ひとつまみの塩をふり、豆半分の汁気を切って取り分ける。残りを木べらでつぶしながらゆるく煮詰めて、粒の豆を戻して混ぜればできあがり。
 |
 |
| 白餡づかいで二度おいしい |
甘みがかなり控えめなので、豆そのもののうまみがしみじみ味わえる。出来たては格別だけれど、日持ちはあまりしないので、お裾分け先がなければ、すこしずつ冷凍するとよい。もちろんもっと砂糖を足して、しっかり甘く煮てもいい。水煮の段で取り分けて、スープやサラダに使うのもよし、潰さぬ粒を煮豆でもよし、一から炊けばいかようにも応用がきく。
豆ばっかりのきんとんとはぜいたくに聞こえるけれど、芋の皮むきや栗を手ずから甘煮する手間を思えば、安価にして簡単至極。おせち風の口取りにはもちろんのこと、お餅に添えたり、花巻に挟めば白あんまんに、果てはパンに塗りつけたりと、餡として活用するのもうれしい余禄。アイスクリームに添えるのも、甘味好きにはお薦めだ。
|

このコラムのご感想やご意見など
にお寄せいただければ幸いです。 |
 |
|