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ひなあられ
台処歳時記
手作りのあられで祝う、素朴なひなまつり
 寒さはまだまだ引かないが、日なたの梅がほころんで、もうひと息の辛抱だ。雛の節句をむかえるころは、花のかおりでいっぱいだろう。春らしいひなあられ、ふんわりしたのもいいけれど、昔ながらのごりごりしたのを手づくりするのもおもしろい。

 餅は1センチ角ほどに切って乾す。天日でも、ストーブの隅っこにのせてもいいし、ヒーターの風を使う手もある。残りごはんは乾飯(ほしいい)にする。さっと水洗いしてから乾すと、ぱらぱらの粒になる。生のもち米をそのまま煎ってもかまわない。
 しっかり乾した餅と米は、それぞれほうろくや鍋でじっくりと煎る。餅がふくれてくっつくようでは乾し足りない。きつね色になって芳ばしいにおいが立つまで十分に煎らないと、歯ごたえがわるくなる。節分に余った福豆なども入れるとうまい。なければ大豆を煎ってもいいし、黒豆も彩りがよい。煎ったままでもおいしいが、お雛さまには砂糖蜜をからめて供える。
台処歳時記
じっくり根気よく煎るのが肝心
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焦がさぬようにこんがりと
 どんぶり一杯ほどのあられに砂糖(あればざらめ)大さじ3、4杯に醤油をすこし、大さじ1杯ほどの水を合わせて鍋に沸かし、ぶくぶくと泡立ったらあられを一気に加え、手早く混ぜてできあがり。

 ひなまつりは、山や浜など景色のいいところで日がないちにち遊んだり、ともだち同士の雛壇を見てまわるたのしい春の日であった。お雛様を野山に連れ出し、里の眺めを見せてやる土地もあれば、川べりでは、筏にのせて雛送りした。いずれにしても、お雛様に供えたごちそうを自分の重箱に詰めてもらって、仲よしととりかえっこがまたうれしい。小さなお重には、心づくしのおすしやお煮しめ、卵焼き、菱餅やひなあられ。
餅をちいさく切って乾したあられは「ほとぎ」や「おいり」とも呼ばれ、日本のどこでも同じように作られたものらしい。のしもちの切れ端や、鏡餅のかけら、くず米を大切に、おいしく食べる知恵でもあった。大きな缶に蓄えて、食べるぶんだけ芳ばしく煎り、お茶請けにも重宝した。漬物みたいに家ごとでそれぞれ違って、茶飲み話も弾ませる。

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子どもも止まらぬつまみぐい
 ひなあられには、餅を搗くとき、よもぎや青のり、くちなしやさくらえび、シソなどで色をつけたり、貴重な砂糖をたっぷりまぶして特別おいしくきれいに仕上げ、子どもらを喜ばす。
 質実ながら、おいしくて腹持ちもよく、ちいさな手でつまむのにちょうどいい。噛むほどに味わいぶかい、雛の祝いの素朴なおやつ。


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