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和雑貨 翠 TOP
> 台処歳時記 目次 >卯月
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| きれいな草色はかくれても、きな粉はしっかりだんごにまぶす |
桜が散って新学期がはじまると、北の国ではちょうどヨモギも摘みごろだ。新しいカバンを置いて、香りのよいやわらかい葉をかごに集めて歩くのは、たのしい春の遊びであった。摘んだヨモギをゆでてから水に浸けて灰汁を抜き、細かく刻んで餅に混ぜれば、きれいな草色の生地になる。ゆでた葉を影日で乾せば保存もできる。粒状の乾燥ヨモギは、食材店や大きなスーパーでも手に入るので重宝だ。
ちなみに植物学者の牧野富太郎博士によれば、「蓬」と書くのは中国大陸の砂漠におおく生えるホウキギのような植物で、食べるヨモギと混同するのは「トンデモない見当違い」とか。とまれヨモギモチは奈良時代の昔から、すでにきな粉や小豆を添えて食されていたという。
草餅で思い出すのは、隣の元気なおばさんが、毎年かならず届けてくれた、平べったいおだんごだ。
農家のおおきな庭先で、おそらく臼で搗くのであろう、ヨモギたっぷりのどっしりとした草餅は、銀紙のなかでまだほんのりとあたたかく、和菓子屋に並ぶものとは別格の味わいだった。「ほっぺたが落ちる」おいしさは、何年たっても記憶に残る。おばあちゃんからお嫁さんへ、家の女のひとたちが、つくりつづけているのだろう。
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| 餅で餡をくるむより、串に刺すのはずっと楽 |
あれには遠く及ばぬながら、乾燥ヨモギで手軽につくる草だんご。花でも見ながらみんなで食べれば、手づくりのうまさはちゃんと味わえる。
だんご粉150gに乾燥ヨモギ大さじ1杯、分量の水を加えて耳たぶの固さにこねたら、適当な大きさに丸めてぐらぐら沸いた湯に落とし、浮いてからさらに2、3分ゆでて水にとる。ヨモギはきな粉と相性が抜群なので、くっつくのを防ぐためにも、水気を切っただんごには、たっぷりときな粉をまぶして餡を添える。もちろん茹でただんごを搗きなおして餡をくるめばより上等だし、串だんごにしてもいい。
たらの目やふきのとう、動きだす土の息吹をお膳にのせる山菜は、苦味と香りが身上だ。摘みたてのヨモギでつくる草餅もまた、待ちかねた春をたのしむ食べものだろう。今年もそろそろ田舎の家にはお隣の草餅が届くころ。懐かしんでばかりおらずに、ひとつヨモギを摘んでみようか。 |

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