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美術館へ行こう 静岡市立芹沢けい介美術館「のれん展」
 JR静岡駅よりバスで20分、登呂公園に点在する高床式の住居をのぞきながら進むと、登呂博物館にならんで芹沢美術館が建っている。背よりもたかい椿の植え込みを抜けると、門をくぐるより先に水音が耳にはいる。抜けて右手にちいさな滝、正面にみえる池には噴水が勢いよくしぶきをあげる。大ぶりの石を積み上げた平屋の建物は、遺跡との相性もいい。
 白井晟一の手による建物は、内も外も、作品にしっくり馴染んで心地よい。池を囲む展示室の木組の天井や、ところどころに空いたちいさなガラス窓など、自然を感じる落ち着いた空間だ。

   今回の企画展は「のれん」。みずから「終始暢々(のびのび)と働ける」と好んだ「染めの中で最も男らしい」仕事であった。なるほどがっしりと厚い藍などの地に、おおきな文字や図案をのせた力強い作品が並ぶ。「水」や「山」、「福」などの絵文字が鮮やかに踊っている。布文字と名づけられた、1枚の反物で表す立体感のある文字がおもしろい。短い文句を色彩ゆたかに綴ったものもあれば、おもいきりデフォルメされた筍一本、宝尽くしなど、いずれも構図がすばらしく、かつ楽しい。店の軒先にこんなのれんが掛かっていたら、のぞいてみたくなるだろう。  他にも、のれんの図案、実際に使われたらしい様々な店の燐票(マッチの図案)がガラスケースにずらりと並び、小さいながら、色とりどりの立派な作品の顔をして、かわいらしい。
 着物や帯もいくつか飾られている。魚や小屋を一面に描いた型染めは、着物の柄としては類のない奇抜さにもかかわらず、上品で活きがいい。身に纏うにはちょっと勇気がいりそうだ。

 作品とならんでユニークなのが、「芹沢コレクション」と呼ばれる世界各地の工芸品コーナー。東北の小絵馬から始まったコレクションというが、「工芸」などという大人しい名前ではくくりきれない、民族博物館も顔負けの珍奇で迫力ある品揃え。こちらも企画展にあわせて展示替えがある。今回のテーマは「仮面」。南米、アフリカ、太平洋の島々など、いわゆる文明国から遠いほどスケールが大きいようだ。かわいらしい土人形に混じって、アルマジロや亀甲つかいの豪華版もある。直径1メートルを超えるかさばりそうな大物は、海を越え、どうやって運んだのだろう。そもそも、これだけの珍品を集めるために、いったいどんな旅をしたのか、知りたくなる。メキシコのブリキの仮面など、現代アート顔負けの斬新さ。韓国の張子や、わが日本の獅子たちも、どっしりと最高級品の面持ちだ。

 見終わったら販売コーナーへ。カタログや絵葉書、のれんやハンカチもあって目移りする。館内の女性スタッフは、みな対応がやわらかで感じがいい。館内では、芹沢の生涯を辿る15分のビデオも上映されており、平屋のこじんまりした建物だが、芹沢の仕事のおおきさ、広さが実感できる、何度でも行きたい隠れ(?)美術館。


*今回の「のれん」展は6/24まで
美術館前景
展示風景
のれん
のれん
◆沖縄民謡文のれん(1965年頃)

アクセス静岡駅北口バスより「登呂遺跡」行き20分
静岡市立芹沢けい介美術館
静岡市登呂5-10-5(登呂公園内)  電話054-282-5522
開館時間:9:00〜16:30 休館日:月曜、祝祭日の翌日、毎月末日、年末年始、展示替期間中 入館料:大人410円 学生250円 小人150円
http://www.city.shizuoka.shizuoka.jp/seri-site/index.htm


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