──30年以上前に自分の祖父が作った箒が、今も使える。 「日用品がこれほど長持ちするのは、実はすごいことなのでは?」 その気づきが、松本さんが箒職人を志す原点となりました。
松本さんの箒づくりは、その材料となる「ホウキモロコシ」の栽培からはじまります。 「ホウキモロコシ」はしなやかな穂先を持ち、室内用の箒に適したイネ科の植物です。 松本さんは、畑の土づくりから種まき、刈り取り、脱穀まで、一貫して手がけています。さらに、箒を編むための糸も、ご自身で草木染めされています。
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| ホウキモロコシの種 | 夏に向けてぐんぐん大きくなります |
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| この穂が箒になります | 収穫したホウキモロコシは天日に当てて乾燥させます |
箒の製作においては、独学からスタート。その後、千葉県木更津の箒職人のもとで伝統的な江戸箒の技術を学ばれました。 編み方は祖父の南部箒の技法を踏襲し、穂のまとめ方は江戸箒の技法で作られているそうです。
目指すのは、祖父の箒のように、「バリバリに硬くなるまで長く使える箒」。 松本さんの日々の精進は続きます。
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| 今でも使える、お祖父さんの箒 | 編み上げた南部小箒 |
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| パーツを組み合わせて作る箒もあります | 各パーツを組み合わせて編み上げます |
お掃除ロボットや高性能な掃除機が普及した現代であっても、家の中を見回せば、それだけでは掃除しきれない場所が意外と多いことに気づきます。 階段やサッシのレール、家具と壁のわずかな隙間など。 箒の機動性は、そんな細かな場所でこそ力を発揮します。
さらに、電気を使わず、音も静か。 時間を気にせず掃除ができ、気になった時にサッと取り出して使える手軽さもあります。 小ぶりな箒なら、玄関先で洋服のホコリを払ったり、テーブルのパンくずを集めたりと、日々のちょっとした掃除にも重宝します。 箒は、今の時代でも十分に活躍する暮らしの道具。 家電とうまく使い分けることで、掃除はもっとスマートになるかもしれません。
なお、箒の穂は、収穫からの時間や穂の長さによって感触が変化します。 穂が長いものほどしなやかで柔らかく、植物素材であるため、時間の経過とともに少しずつ硬さが増していきます。 柔らかいうちは洋服のホコリ払いやフローリングの掃き掃除に。 硬くなってきたら、玄関や屋外用の箒として。 使う場所を変えながら、長く付き合っていけるのも箒の魅力です。 日々の暮らしの中で育つように馴染んでいく箒は、いつしか、かけがえのない道具になっていくことでしょう。
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